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2022年5月11日 投稿者: somacoffeekyoto
アウトドアコーヒーについて

アイスコーヒーの作り方は?① -「コーヒー + 氷」方式の問題解決編 –

アイスコーヒーの作り方は?① -「コーヒー + 氷」方式の問題解決編 –
2022年5月11日 投稿者: somacoffeekyoto
アウトドアコーヒーについて

Index

  • 1 「冷やす」のは何かと大掛かり
  • 2 「ホットコーヒー + 氷」方式の濃度・温度調整方法
    • 2.1 必要な氷量と粉量を求めるための計算式

「冷やす」のは何かと大掛かり

暑い夏、良く冷えたアイスコーヒーは魅力的ですが、気温が高い時期のアウトドアで「冷やす」という作業を行うのはなかなか大変なことだと思います。

基本的なアイスコーヒー作りの流れは、ドリップしたホットコーヒーという加熱調理で出来たものを、次に冷却するという2段階方式となっています。その過程では「加える熱量+奪う熱量」が最低でも必要なので、ホットコーヒーに比べて倍以上のエネルギーが何らかの形で消費されていることになります。

「氷を使えば…」という至って自然な解決策にも、いざ外でとなれば通常のドリップ用具に追加して以下のような大掛かりな作業と用具・材料が必要になって来ます。

  • 断熱性の高いクーラーボックスやあらかじめ冷凍された冷却材
  • 電気式冷蔵・冷凍機器を使用する場合は電源設備(高容量高出力なバッテリーもしくは発電機)

もし、これらをご準備頂くこともいとわないとのことであれば、品質の高いものを作ることも可能です。

アウトドア・キャンプ愛好家の方にとっては、それほど大変なことではないかもしれませんが、初心者の方や気軽にやってみたい方にはコスト面(労力と費用)でも大きな障壁となる気がします。

実際にもアウトドアでアイスコーヒーを作って楽しむというケースは、ホットコーヒーとは比較にならないほどマイナーなのではないかと感じています。

そこで当店としては、どなたでも使える「アウトドアで自分好みのアイスコーヒーを作る方法」をお伝え出来ないかと思い、そのポイントをまとめてみました。

いくつかの方式ごとに数回のシリーズになる予定です。

※関連記事:アウトドアコーヒーには何が必要?

「ホットコーヒー + 氷」方式の濃度・温度調整方法

【氷の温度】がアイスコーヒー作りのポイント

このポイントはインドアかアウトドアかに関わらず、改めて押さえておいて頂きたいことです。なぜなら、それについて理解することはドリップ解説にまつわる問題点をひも解くことにもつながっているからです。

冷凍設備・用具の性能はじめ、温度や時間に関わる状況によって氷の温度も変化するということなので、同じような見た目と量でも0℃のものと-10℃のものを使う場合では冷え具合が違って来ます。

では、この事実を「濃いめに淹れたホットコーヒーに直接氷を投入する」という、比較的メジャーなアイスコーヒー作りの方式に当てはめてみましょう。

すると、目的の温度に冷やすために必要な氷の量は、ホットコーヒーの温度と量に加えて氷の温度によっても変わってしまうことが分かります。

まず、この方式について解説される場合の要点部分のみをまとめておくとこうなります。

  • 基本的なドリップのポイントについて押さえておく
  • コーヒーは濃いめに淹れる(通常の1.5~2倍の粉量)
  • コーヒーと同量ほどの氷を加える
  • あらかじめサーバーに氷を入れておいたり、抽出後にすぐ氷を加えることで急冷する

ご興味のある方ならこの辺りまではどこかで見聞きしたことがあると思いますが、上記のホットコーヒーと氷の温度と量に伴う濃度変化や温度変化に関する説明は、どこを探しても見当たらないことに疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実はこのような事例にも、解説に当たって無意識にインドア環境かつ整ったキッチン設備を想定をした簡略化、また抽出方法や表現方法としての定型化(あるいは形骸化)といった情報伝達に関わる問題が潜んでいます。

その説明が正しいかどうかや意図的かどうかは別として、様々な条件・状況に対応するために必要となる原理的な情報が欠落してしまっているということです。

「抽出条件はコレ!氷の量はコレ!」といった一例を挙げるに留まってしまう理由は、その根拠があくまで個別の経験則に基づいたものだからです。

そして、自ずとそういう方向に向かってしまう、より根本的な原因があります。

この方式は手軽かのように見えますが、実際には変動要因が多いために状況に合わせた抽出条件や氷量を明確に示すことは、そう簡単ではないという難点を抱えていること。

これらを問題と捉えた上で、お茶を濁すことなく解決しようとするならば、以下にお示しするような計測と計算による一般化が必要になって来ます。

必要な氷量と粉量を求めるための計算式

  • 比熱 コーヒー(水)4.2J/g・K 氷2.1J/g・K 
  • 氷の融解熱334J/g
  • 質量(g) 温度(℃)

氷量 = (コーヒー温度 – 目的温度) × コーヒー量 × 4.2 /  氷温度 × -2.1 + 目的温度 × 4.2 + 334 

目的量 = コーヒー量 + 氷量

氷量を求めるには、前提条件となるいくつかの値を決定しておく必要があります。例えば、70℃で100gのコーヒーと氷温度-5℃のものを準備するとします。

その上で、それを目的温度5℃まで冷やしたい場合に投入すべき氷量は?という問いを立てて、上の式に値を代入して行くと答えが導かれます。

氷量 = (70-5) × 100 × 4.2 /  -5 × -2.1 + 5 × 4.2 + 334

         =27300 / 365.5

  ≒75(g)

この答えから最終的にコーヒーと溶けた氷が合わさった目的量が決まります。

目的量 = 100 + 75

             = 175(g)

次に、ベースとなる100gのコーヒーを抽出するために必要な粉量を求めます。

その際の基準に、普段お好みで召し上がっている通常ドリップ時の粉量対目的量の比率を用いることも可能です。この例題では通常時の粉12g目的量150gとしておきます。

12 / 150 = 0.08

先ほど求めた目的量から必要な粉量を換算すると

175 × 0.08 = 14

よってまとめると「粉14gから抽出した100gのコーヒーに-5℃の氷約75gを投入することで、通常ドリップと同じ濃度で5℃のアイスコーヒー175gが得られる」ということまでが答えになります。

前提条件となる数値を変えたり逆算したりすることで、事前に状況やお好みに合わせた細かい調整が出来るようになります。

様々なコーヒーに対応する汎用性と予測性を持つことが、この方法の最大のメリットです。

また、上手くいかなかった場合には、どこに問題があったかについても確認しやすくなるので、結果として目的のコーヒーに辿り着くための近道になるものと思います。

※通常ドリップとアイスコーヒーベース用のドリップは出来るだけ同条件に近づけて抽出されたものとしますが、実際には特に【抽出時間】というポイントで誤差が大きくなる可能性があります。また、コーヒー温度70℃前後にするためには湯温85℃前後での抽出が目安になります。

※関連記事:上手にドリップするには? – 基本編【分量】【温度】【時間】と濃度の関係 –

※気温・カップ温度といった外部との熱の出入りやその時間といった直接的とは言えないまでも実際には影響する条件をいくつか除外しているので答えは目安です。カップ一杯分ほどの量の場合は±数度程度の誤差が出ると思います。

※目的温度5℃に達した時の状態は全て液体で氷は残らないものとしています。実際は若干残ると思いますが、さらに氷を追加した際に溶けにくいことや良く冷えていると感じられることからその値としています。

※冷たい飲み物は風味を感じ取りにくくなること、濃いものを薄めることは出来ることから通常と同じ濃度ではなく、さらに濃いめに調整する場合が多いです。

※この計算式の分母部分に着目すると、氷の融解熱が大きな役割を果たしていることが示されています。薄くなるのが嫌だからという理由で「ステンレス氷などの解けないものを使ってもあまり冷えない」ということが言えます。

普段から私はこの方式を使わないので、今回の記事を書くに当たって勉強しながら妥当と考えられる計算方法を導いて検証してみました。アイスコーヒー用に使いやすいよう出来るだけシンプルにしたつもりですが間違ってたらすいません。

その上での感想は、気軽に「作り方をご説明しますね」とも「さあ、やってみましょう」ともやはり言う気にはなれないという感じです。アウトドアでは特に。

上記を大きな理由の一つとして、当店からはこの方式をオススメしません。

ただ、通常ドリップに加えて用意するのは氷だけという点での手軽さや鮮度感というメリットがあるのも確かです。固定のレシピと温度環境下という前提条件があれば、記事中段にある要点部分のみでも慣れで調整出来そうです。

さらに手間を掛けてもお好み通りに作りたい方には、▢枠内の計算方法や注意点がご参考になればと思います。

※この方式を一部では「Flash Brew」と呼ぶらしいです

※関連記事:コーヒーの保管方法は? – 鮮度の基準と冷却について –

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