この記事では透過式が抱えている構造的な問題を踏まえて「粉量を変化させる場合はどうしたら良いのか?」について解説して行きます。
お客様からご質問を頂く機会も多く、ドリップ経験のある方の多くが疑問を持たれているテーマかと思います。
しかし「それは何が問題なのか?」となると、おそらく誰もが具体的に認識することさえ難しい部分に当たります。
まさに、その部分について解説するため「上手にドリップするには?基本編・応用編」は基礎となる理論的な内容が多くなっていますが、今回は実際のドリップでそれらを役立てて行くための実践方法の一つをご紹介します。
また、プアオーバー(ハンドドリップまたは上から注ぐ)型透過式には、ドリップとその捉え方を複雑にしてしまうという大きなデメリットがあることを知ってもらうと「なぜ風味を調整するためにこんな面倒なこと(適切な対処方法)が必要なのか?」という理由についても理解してもらえるようになるのではと思います。
記事後半では応用編の内容に触れざるを得ないため、ご家庭向けともスッキリ解決する回答とも言えないので恐縮ですが、第一稿として公開することにしました。ご質問やご指摘など頂けましたら随時更新して行く予定です。
なぜ透過式のバランス調整は不安定なのか?
一度に抽出する杯数を2杯分、3杯分と増やしたり減らしたりする際に非常に起こりやすいのが、それぞれのドリップで濃さ(濃度)がバラバラになってしまうという問題です。
「バランス調整しろって言われても…」という方でも、こういった失敗コーヒーを飲まなくて済むようにするための方法と分かれば、ご興味も沸いて来るのではと思います。
原因はいくつかあるのですが、その中で最も影響が大きいものは、透過式では【粉量】が変化すると【時間】も自ずと変化することです。
そうなること自体は自然なことで、増やした分の粉に水を行き渡らせるために注水量が多くなり、それが透過するために必要な時間も長くなるためです。