コーヒー焙煎(ロースト)
コーヒー焙煎とは、生豆に熱を加えて化学変化を促し、飲用可能な状態に変化させるプロセスです。焙煎によって豆の色、香り、風味が大きく変わります。
焙煎度合いの種類
浅煎り
Lv1: ライトロースト (Light Roast)
最も浅い焙煎。1ハゼ(First Crack)前後で仕上げます。SCAやCOEといった世界規模のコーヒー業界団体において、コーヒー豆そのものの評価を決める際の基準焙煎度と定められています。豆の持つ繊細な風味特性が最も分かりやすい焙煎度であるためで、スペシャルティーと呼ばれるような高品質な豆を扱う近代型のコーヒー店の豆にはライトロースト(浅煎り段階)が多い理由です。
- 豆の色:明るい茶色
- 風味:明るい酸味、フルーティー、ハーブのような香り
- 特徴:豆本来の風味が強く残る、軽やかな口当たり
- 適した豆:高品質なコーヒー(スペシャルティーなど)、エチオピア、ケニアなど
Lv2: シナモンロースト (Cinnamon Roast)
ライトローストよりわずかに進んだ焙煎。
- 豆の色:シナモン色
- 風味:強い酸味、軽い香ばしさ
- 特徴:豆の個性が際立つ、さっぱりとした味わい
- 適した豆:フルーティーな酸味を持つ高品質豆
中煎り
Lv3: ミディアムロースト (Medium Roast)
最もポピュラーな焙煎度合い。アメリカンローストとも呼ばれます。
- 豆の色:中程度の茶色
- 風味:バランスの取れた酸味と甘み、わずかな苦味
- 特徴:最も汎用性が高い、バランスの良い味わい
- 適した抽出方法:ドリップ、フレンチプレスなど
Lv4: ハイロースト (High Roast)
ミディアムローストよりもやや深い焙煎。
- 豆の色:やや濃い茶色
- 風味:穏やかな酸味、増した甘みとコク
- 特徴:バランスが良く飲みやすい
- 適した豆:中南米の豆全般
中深煎り
Lv5: シティロースト (City Roast)
2ハゼ(Second Crack)前後。日本では多くの人に好まれている焙煎度です。
- 豆の色:濃い茶色
- 風味:チョコレートのような風味、ナッツの香ばしさ
- 特徴:酸味と苦味のバランスが良い
- 適した豆:ブラジル、コロンビアなど
深煎り
Lv6: フルシティロースト (Full-City Roast)
2ハゼを十分に進めた焙煎。
- 豆の色:濃い茶色(やや艶あり)
- 風味:深みのあるコク、しっかりとした苦味
- 特徴:豆の表面に油分が出始める
- 適した抽出方法:エスプレッソ、アイスコーヒー
Lv7: フレンチロースト (French Roast)
深煎りの代表格。
- 豆の色:黒褐色(艶あり)
- 風味:強い苦味、スモーキーな香り
- 特徴:豆の表面に油分が出る、重厚な口当たり
- 適した豆:インドネシア産など、重厚な味わいの豆
Lv8: イタリアンロースト (Italian Roast)
最も深い焙煎。
- 豆の色:黒色(強い艶)
- 風味:焦げたような苦味、ほとんど酸味なし
- 特徴:豆の表面に多くの油分、非常に重厚な味わい
- 適した飲み方:エスプレッソ、カフェラテ
アグトロン値とL値 (Agtron Value and L Value)
焙煎度合いは基本的に豆の色で判断されます。ライトローストでは黄土色。そこから深くなるにつれて茶褐色が濃くなって行き、イタリアンローストでは黒に近い色になります。
その度合いを客観的に数値化するために、アグトロン値とL値が用いられます。これらの数値は、焙煎の再現性や品質管理に役立ちます
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アグトロン値 (Agtron Value)
コーヒー豆の粉の色を測定する数値で、数値が高いほど浅煎り、低いほど深煎りであることを示します。
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L値 (L Value)
明度を示す指標で、0に近いほど黒く(深煎り)、100に近いほど白い(浅煎り)ことを示します。
焙煎士 (Coffee Roaster)
焙煎士とは、コーヒー豆の焙煎を専門とする職人のことです。素材や道具の特性を理解し、最適な焙煎プロファイルを設計・実行することで、生豆から魅力的ば風味を引き出す専門家です。
ただし、焙煎士という肩書きはあくまでも自称であり、ブランディングの一環として用いられている呼び名です。
日本の国家資格制度によって認定される弁護士、税理士、司法書士、医師など、法的なカテゴリにおいて社会的に高度な専門性を有する職種を指す「士業」に該当するものではない、という点には注意が必要です。
日本の業界団体による以下のような資格・認定制度があり、これらを取得することは客観的な専門性を証明する手段の一つとなります。
焙煎に必要なスキルと知識
- 生豆の知識: 産地、品種、精製方法による特徴の違いを理解し、それぞれに適した焙煎方法を選択できること。
- 焙煎技術: 温度管理、排気制御、焙煎時間の調整など、焙煎機を適切に操作する技術を持っていること。
- 品質管理: 焙煎後の豆の色、香り、味わいを評価し、一定の品質を維持できること。
- カッピング技術: 焙煎したコーヒーの味わいを正確に評価し、必要に応じて焙煎プロファイルを調整できること。
焙煎に関する資格・認定制度
- SCAJ認定資格: 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が提供する体系的な資格制度
- コーヒーロースター初級: 焙煎の基礎知識と技術を習得していることを認定
- コーヒーロースター中級: より高度な焙煎技術と品質管理能力を認定
- コーヒーロースター上級: プロフェッショナルとしての総合的な焙煎技術を認定
- CQI認定資格: Coffee Quality Institute(CQI)が提供する国際的な資格
- Qグレーダー: アラビカコーヒーの品質評価における国際的な資格
- Rグレーダー: ロブスタコーヒーの品質評価における国際的な資格
これらの資格は、焙煎技術だけでなく、生豆の知識、品質評価、食品安全など、コーヒー産業で必要とされる幅広い知識と技術の習得を証明するものです。
焙煎機の種類
焙煎機は、使用目的や規模によって様々な種類があります。それぞれの特徴を理解することで、より良いコーヒー作りが可能になります。
- 家庭用焙煎機:
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電動式小型焙煎機
焙煎機として最も扱いやすいタイプです。100-300g程度の少量焙煎が可能で、初心者や家庭向けとして扱いやすいように設計されているものが多いです。近年では、より高性能な機種も登場しています。
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手回し焙煎機(手動式)
コンロなどの熱源を使用し、手動で焙煎する方式。主に直火式。数百グラム程度の容量が多いです。ハンドルでドラムを回転させるタイプ。フライパン、鍋、手網など、様々なタイプがあります。焙煎度の調整は経験と勘に頼る部分が大きい不安定な方式ですが、家庭でも行えるシンプルさ、自分好みの焙煎を追求する楽しさがあります。
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電動式小型焙煎機
- 業務用焙煎機:
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小規模店舗用(1-6kg)
カフェや小規模焙煎所で使用される焙煎機です。温度管理や排気制御などの機能が充実しており、安定した品質の焙煎が可能です。
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中・大規模工場用(10kg以上)
焙煎専門工場や大手コーヒーチェーンで使用される大型焙煎機です。大量生産に適しており、高度な制御システムを備えています。
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小規模店舗用(1-6kg)
焙煎機の構造と機能
焙煎機には、良質なコーヒーを作るための重要な機能が備わっています:
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熱源 (Heat Source): 焙煎に必要な熱を生み出す装置。使用する熱源によって焙煎の特性や風味に影響を与えます。
さらに詳しく
焙煎機の熱源には主に以下の種類があります:
- ガス (Gas): 最も一般的な熱源で、プロパンガスや都市ガスを使用します。温度調整が容易で反応が早く、安定した焙煎が可能です。家庭用から業務用まで幅広く採用されています。
- 電気 (Electric): 電気ヒーターを使用する方式。温度制御が精密で、クリーンな焙煎が可能です。初期投資は比較的安価ですが、大型機では電力消費が大きくなります。家庭用や小規模店舗向けに多く見られます。
- 炭・薪 (Charcoal/Wood): 伝統的な熱源で、独特の香ばしさが特徴です。温度管理が難しく経験が必要ですが、独自の風味を生み出せます。主に伝統的な焙煎所や一部の専門店で使用されています。
- 赤外線 (Infrared): 近年開発された技術で、赤外線を使って豆を直接加熱します。均一な焙煎が可能で、エネルギー効率も良いとされています。
熱源の選択は、焙煎の安定性、風味の特性、運用コスト、環境への影響など、様々な要素を考慮して決定されます。特に商業用途では、ガスと電気のハイブリッド方式を採用するケースも増えています。
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ドラム: 生豆を入れて加熱・回転させる円筒形の容器。熱の伝わり方や豆の動きに影響を与える重要な部分です。
さらに詳しく
ドラムの材質(鉄、ステンレスなど)や構造(穴の有無、羽根の形状など)によって、熱の伝わり方や豆の動きが変わり、焙煎の仕上がりに影響します。
- 温度計: 豆の温度を測定する装置です。デジタル式やアナログ式があり、適切な焙煎温度の管理に使用します。
- 排気口: 焙煎中に発生する煙やガスを外に逃がす穴です。
- 煙突: 排気口から出る煙を効率よく外部に排出するための筒。
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サイクロン: 排気と一緒に排出されるチャフ(豆の薄皮)を集める装置。
さらに詳しく
サイクロンは、遠心力を利用してチャフと空気を分離します。チャフが外部に飛散するのを防ぎ、火災のリスクを低減する役割もあります。掃除怠ると、貯まったチャフに引火することがあるので注意しましょう。
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アフターバーナー: 焙煎時に発生する煙を再燃焼させる装置。
さらに詳しく
アフターバーナーは、煙に含まれる有害物質や臭いを減少させ、環境への負荷を低減します。特に都市部での焙煎では、設置が義務付けられている場合があります。
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吸排気ファン (Exhaust Fan): 焙煎中に発生する煙やガスを効率的に排出するためのファン装置。
さらに詳しく
吸排気ファンには主に以下の役割があります:
- 煙の排出: 焙煎中に発生する煙を効率的に外部へ排出し、作業環境を快適に保ちます。
- 温度調整: 排気量を調整することで、焙煎室内の温度や圧力をコントロールします。特に1ハゼ後は多くのガスが発生するため、適切な排気が重要です。
- 風味形成: 排気の強さによって豆に残る香味成分が変わるため、風味形成にも影響します。排気が弱すぎるとスモーキーな風味が強くなり、強すぎると風味が薄くなる傾向があります。
業務用焙煎機では、インバーター制御により排気ファンの回転数を細かく調整できるものが多く、焙煎プロファイルの一部として排気量も記録・管理されています。また、環境への配慮から、排気ファンとアフターバーナーを組み合わせたシステムが一般的になっています。
- 冷却トレイ: 焙煎が終わった豆を素早く冷やすための装置です。ファンで空気を送って冷やす方式が一般的です。
- 覗き窓: 焙煎中の豆の様子を確認できる窓です。色の変化や膨らみ具合を観察するのに使用します。
- テストスプーン(試料採取口): 焙煎中の豆を少量取り出して確認できる装置です。豆の状態を細かくチェックするのに役立ちます。
焙煎方式 (Roasting Methods)
コーヒー豆を焙煎する方法にはいくつかの種類があり、それぞれ熱の伝え方や風味の形成に違いがあります。
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直火式 (Direct Fire Roasting)
ドラムの底から直接火を当てる方式。香ばしく、力強い風味になりやすいですが、ドラムからの伝導熱が強いために焦げ付きのリスクもあります。
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半熱風式 (Semi-Hot Air Roasting)
バーナーの熱と熱風を併用する方式。直火式と熱風式の良いところを組み合わせ、バランスの取れた焙煎が可能です。
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熱風式 (Hot Air Roasting)
熱風のみで焙煎する方式。豆全体に均一に熱が伝わりやすく、クリーンで明るい風味になりやすいです。
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電動式焙煎機
電気ヒーターを熱源とする焙煎機。家庭用から業務用の小型機まで幅広く、手軽に焙煎を楽しめます。温度管理が比較的容易です。
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サンプルロースター (Sample Roaster)
少量(通常100-300g程度)の豆を焙煎できる小型の焙煎機。生豆のサンプル焙煎や品質評価、焙煎プロファイルの検討などに使用されます。近年の電動式小型焙煎機は温度管理が精密で、本焙煎の前の試験焙煎に適しています。
冷却機構 (Cooling System)
焙煎完了後の豆を素早く冷却するための装置です。主に以下の2種類があります:
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エアークーリング (Air Cooling)
強力な送風で豆を冷やす方式。多くの焙煎機に採用されており、効率的な冷却が可能です。冷却トレイの底面から冷気を送り、豆を攪拌しながら均一に冷却します。
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ウォータークーリング (Water Cooling)
冷却トレイの二重構造内に水を循環させて冷やす方式。豆に直接水をかけることはありませんが、エアークーリングと比べてより急速な冷却が可能です。ただし、設備が複雑になるため、主にプロ向けの大型焙煎機に採用されています。
排気とダンパーの制御
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排気 (Exhaust)
焙煎中に発生するガスや煙を排出する機能。適切な排気制御は、豆の温度管理や風味形成に重要な役割を果たします。排気量が多すぎると熱が奪われすぎ、少なすぎると豆にスモーキーな風味が付きやすくなります。
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ダンパー (Damper)
排気量を調整する装置。開度を変えることで焙煎室内の圧力や温度をコントロールします。一般的に、焙煎初期は開度を絞り、1ハゼ前後から徐々に開いていくことで、豆から発生するガスや煙の排出を促します。
焙煎プロファイル (Roasting Profile)
焙煎プロファイルとは、焙煎時間と温度の変化をグラフで表したものです。コーヒー豆を理想的な味わいに仕上げるための「レシピ」のようなものと考えることができます。プロファイルを記録・保存することで、安定した品質のコーヒーを作ることができます。
焙煎の基本的な段階
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昇温 (Ramp Up)
焙煎開始から豆の温度が上昇していく最初の段階。生豆の水分が徐々に抜けていきます。
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メイラード反応 (Maillard Reaction)
パンが焼けるときのような香ばしい香りが出始め、豆が黄色から茶色に変化していく段階。この反応により、コーヒーの味わいの土台が作られます。
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1ハゼ (First Crack)
豆の中の水分が沸騰して、ポップコーンのように豆が弾ける段階。パチパチという音が特徴的です。この段階から浅煎りのコーヒーとして飲めるようになります。
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ディベロップメント (Development)
1ハゼ後の仕上げの段階。この時間の長さによって、酸味や苦味、コクのバランスが変わってきます。
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2ハゼ (Second Crack)
さらに焙煎を進めると起こる、より小さなパチパチという音。この段階に入ると深煎りのコーヒーになります。
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冷却 (Cooling)
理想の焙煎度合いに達したら、すぐに豆を冷やして焙煎を止めます。これにより、意図した味わいを確実に定着させることができます。
代表的な焙煎パターン
焙煎には、豆の種類や目指す味わいに応じて、いくつかの基本的なパターンがあります:
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標準的な焙煎 (Standard Roast)
最も一般的な焙煎方法です。全体で12-15分程度かけて、ゆっくりと均一に豆を焙煎します。バランスの良い味わいになりやすく、多くの豆に適しています。
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浅めの焙煎 (Light Roast)
1ハゼ直後で焙煎を終える方法です。豆本来の風味や酸味を楽しむことができ、特に高品質な豆で好まれます。
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深めの焙煎 (Dark Roast)
2ハゼまで焙煎を進める方法です。苦味とコクが強調され、豆の油分が表面に出てきて艶のある見た目になります。
焙煎の調整要素
- 豆の種類と状態(水分量、密度)
- 目指す焙煎度合い(浅煎り、中煎り、深煎り)
- 飲み方(ドリップ、エスプレッソなど)
- 季節や気候(温度、湿度)
焙煎の確認ポイント
焙煎中は、主に以下の点を確認しながら進めます:
- 豆の温度の変化(現在温度や昇温速度など)
- 豆の色の変化(緑→黄→茶→濃茶→黒)
- 香りの変化(生豆の香り→パンのような香り→フルーツのような香り→コーヒーらしい香り→焦げたような香り)
- 豆の膨らみ具合(体積、センターカット、表面のしわ)
- ハゼ音の強さと頻度
ハンドピック (Hand-picking)
ハンドピックとは、焙煎前後のコーヒー豆から、欠点豆や異物を手作業で取り除く作業のことです。コーヒーの品質を向上させるために重要な工程です。
- 焙煎前ハンドピック: 生豆の状態で行うハンドピック。未熟豆、虫食い豆、発酵豆、カビ豆、過小豆、過大豆、パーチメント、異物などを取り除きます。
- 焙煎後ハンドピック: 焙煎後の豆から、焼きムラの豆や貝殻豆、欠け豆などを取り除きます。風味の向上だけでなく、見た目の統一感を向上させる目的もあります。
さらに詳しく
ハンドピックは手間と時間がかかる作業ですが、欠点豆を取り除くことで、コーヒーの雑味や不快な風味を減らし、クリーンでクリアな味わいを実現できます。ただし、スペシャルティーグレードに当たるような生豆は、出荷までの品質評価においても高い基準をクリアしているということなので、すでに精製の段階でハンドピックをはじめとする最低限度の選別工程は経ているケースがほとんどです。
- Q: ハンドピックはなぜ必要ですか?
- A: 欠点豆や異物を取り除くことで、コーヒーの雑味を減らし、よりクリアな味わいにするためです。
欠点豆の選別機器
- 比重選別機: 豆の比重の違いを利用して、未熟豆や虫食い豆などを選別します。
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色彩選別機: カメラで豆の色を識別し、不良豆をエアーで吹き飛ばして除去します。
さらに詳しく
色彩選別機は、大量の豆を高速かつ正確に選別できるため、大規模な焙煎工場で導入されています。近年では、AIを活用した高精度な機種も登場しています。
- スクリーン選別機: 網目状のスクリーンを使って、豆の大きさを揃えます。
- 風力選別機: 風の力で軽い豆や異物を飛ばして除去します。
自宅での焙煎入門
自宅でコーヒー豆を焙煎することで、より新鮮で自分好みの味わいを楽しむことができます。 専門的な知識や高価な機材がなくても、基本的な道具で始めることができます。
自宅焙煎の方法
フライパン焙煎

最も手軽に始められる方法です。テフロン加工されていない鉄製のフライパンを使用します。
必要なもの
- 鉄製フライパン
- 木製または金属製のヘラ
- 生豆
- タイマー
手順
- フライパンを中火で予熱します
- 生豆を入れ、絶えずかき混ぜます
- 8-12分程度で1ハゼが始まります
- 好みの焙煎度に達したら火を止め、すぐに別の容器に移して冷却します
ポイント: 煙が多く出るので換気に注意しましょう。均一に焙煎するために常にかき混ぜ続けることが重要です。
オーブン焙煎

家庭用オーブンを使った焙煎方法です。一度に多めの量を焙煎できますが、均一性に課題があります。
必要なもの
- オーブン
- 浅型の天板
- 生豆
- タイマー
手順
- オーブンを220℃に予熱します
- 天板に生豆を薄く広げます
- 5分ごとに取り出して豆をかき混ぜます
- 15-20分程度で好みの焙煎度に達します
- 取り出してすぐに冷却します
ポイント: 均一に焙煎するために定期的にかき混ぜることが重要です。オーブンの温度は機種によって異なるので調整が必要です。
家庭用焙煎機

専用の家庭用焙煎機を使う方法です。最も安定した結果が得られますが、初期投資が必要です。
種類
- 熱風式焙煎機: ポップコーンメーカーのような仕組みで、熱風で豆を攪拌しながら焙煎します
- ドラム式焙煎機: プロ用の小型版で、回転するドラムの中で豆を焙煎します
メリット
- 温度管理が容易
- 均一な焙煎が可能
- 再現性が高い
ポイント: 初心者には熱風式がおすすめです。価格も手頃で操作も簡単です。本格的に取り組みたい方はドラム式を検討するとよいでしょう。
自宅焙煎のコツ
- 少量から始める: 最初は100g程度の少量から始めて、経験を積みましょう。
- 記録をつける: 焙煎時間、温度、豆の様子などを記録しておくと、次回の参考になります。
- 休ませる: 焙煎したての豆はガスを多く含んでいます。12-24時間程度休ませてから使用するとよいでしょう。
- 保存方法: 焙煎した豆は、密閉容器に入れて冷暗所で保存します。できるだけ早く(1-2週間以内)に使い切るのがおすすめです。
- 安全に配慮: 焙煎中は煙や熱が発生します。換気を十分に行い、火災に注意しましょう。
よくある質問
- Q: 自宅焙煎は難しいですか?
- A: 基本的な方法は比較的簡単です。ただし、プロのような均一で再現性のある焙煎には経験と練習が必要です。
- Q: 生豆はどこで購入できますか?
- A: 専門のコーヒーショップやオンラインショップで購入できます。最近では自家焙煎向けの生豆を扱う店舗も増えています。
- Q: 生豆の保存期間はどれくらいですか?
- A: 適切に保存された生豆は1-2年程度の保存が可能です。涼しく乾燥した場所で、湿気を避けて保存しましょう。
焙煎関連用語
チャフ
焙煎時に豆から剥がれ落ちる薄皮(シルバースキン)のこと。焙煎機には通常チャフコレクターが付いており、これを集めて除去します。
クラック(ハゼ)
焙煎中に豆から聞こえるポップコーンのような音。1ハゼと2ハゼがあり、それぞれ焙煎度合いの重要な指標となります。
ディベロップメント
1ハゼ後から排出までの時間。この期間が風味の発達に重要で、短すぎると酸味が強く、長すぎると平坦な味わいになります。
クエンチング
焙煎後の豆を急速に冷却するプロセス。焙煎の進行を止め、理想的な風味を保つために重要です。
クエーカー
焙煎しても色が薄く、未熟な豆。通常は欠点豆として除去されます。
焙煎日
コーヒー豆を焙煎した日付。鮮度の目安となり、一般的に焙煎後2週間以内が最も風味が良いとされています。