更新情報
- 2024/8 計算方法の微調整とバグ修正
- 2024/8 氷の融解に伴う熱伝達率の上昇を反映したモデルに修正
- 2024/8 滴下式の吸水量など細かい点について計算方法を見直し(詳細記事の「難題1の解決策」項も更新)
- 2024/8 使い方の説明を追記・修正
氷出しコーヒー用レシピ作成フォーム
使い方:
- 左の入力欄にそれぞれの値(半角数字)を入れて計算ボタンをクリック
- 右に予測値、下に「抽出量と時間の関係」を表したグラフが表示されます
- グラフの表示形式をいろいろ調整出来ます(グラフやフローティングバーをポチポチする)
- とりあえず初期値のままで計算ボタンを押してみて下さい
- 予測結果の「ドリンクレシオ:目標抽出量と粉量の比率」という値を元に、希望の濃度感をおおまかに推測します。濃いめ:小⇐ 値 ⇒大:軽め
初期値の抽出レシピ:
氷型滴下式(ペーパードリップ)・抽出量150g・豆(中深煎り)・粉量12g(中挽き)・注水温度5℃・スラリー温度15℃
ドリンクレシオ:目的量 ÷ 粉量 ≒ 12.5(比率で表すと1:12.5)
TDS濃度:成分量 ÷ 目的量 × 100 ≒ 1.5%(やや濃いめ)
※ドリンクレシオはブリューレシオと呼ばれる値とは若干異なります
- 表示されたグラフ内の黄色点が予測された抽出量と時間になります。値を変えて計算すると予測結果に合わせて青線の形や黄色点の位置も変わって行きます。
- 室温の初期値は氷がほぼむき出し状態で、氷周辺温度と変わらない場合です。氷全体を囲う樹脂製容器を使うなどして断熱性を上げる場合は、目安として室温マイナス5℃前後に設定します。
- このフォームは新開発のメソッド(手法)に対応しており、抽出完了までの時間を意図的、かつ直感的に調整することが出来るようになっています。
「氷量と抽出量の比率(Water to Drink Ratio)」という値に合わせて、投入する氷の量と抽出完了時間の予測結果が変わります。
この値が「1」の場合、抽出完了時間と氷が全て解けるまでの時間が同じという意味になります。時間が掛かっても良いから完了まで放置したい場合は「1」に設定。
「1」以上とした場合は、抽出完了時間に到達した時点でも氷は残っているので、手動で抽出を終了させる(ドリッパーあるいはサーバーを外す)必要があります。
この値を大きくすると氷量が増えて抽出完了時間は短くなります。
かと言って、極端に短くし過ぎると未抽出傾向「濃度:低⇒軽め」になります。
初期値レシピの濃度は、「推奨値=1.2」の場合です。
- 氷の純度という値は、水質や凍結方法によって融解速度が変わる、という現象について計算するためのものです
- 値をいろいろ変更して、ご自身のお好みや各ケースに最適なレシピを探してみてください
- ブラウザの右上メニューから、お気に入りやスマホのホーム画面に登録しておくとすぐ使えます
予測結果
氷の量
抽出完了時間
氷が完全に解けるまでの時間
ドリンクレシオ
1:
※1:上級者向けテクニック
このモデルでの抽出完了時間は、ケースごとのズレを見込んだ上で、ある程度の安全率を含んだ設定にしてあります。
つまり、もっと早く完成させることも出来る、ということです。
- 成分溶解が十分に達成される(目標収率に届く)までの時間はもう少し早いので、その時点で抽出を終える
- 加水、または加氷(バイパス)時の濃度と温度を調整する手法に切り替える
※下記の当店開発手法との合せ技なので、これらのフォームを使いこなすことでしか実践不可能な世界初のメソッドになります。これはまだほんの一例ですが、数理モデルというツールを活用する最大のメリットは、人間の感覚だけでは辿り着けない新たな領域に踏み込むことが出来るという点です。
関連記事:急冷式アイスコーヒーの作り方は?② – 氷量および分量計算フォーム
※2:
このツールは、レシピ作成にあたって他の方式にはない抽出条件を持つ氷出し方式に特化した解決策が必要となったことをきっかけに作成したもので、実証からのフィードバック調整が施された独自の計算モデルによる回答をお示しするものです。
安定的な環境と一般的な抽出手順という仮定と近似を用いた簡易バージョンのため、実際の結果はさまざまな要素(氷や粉、器具、空間の状態)により異なる可能性があることをご了承下さい。
※3:
このツールは、現在も開発途上である以下のシステムに統合される予定です。
「抽出プロセスの最適化をサポートする自律型コーヒーデバイス」
より高度な計算モデルをベースに多くの抽出方式や細かい条件に対応するソフトウェア、それと連携して自動抽出を行うハードウェア。
既存の仕組みを劇的に塗り替える性能を備えたものとなるため開発は困難を極めていますが、着々と実用可能なレベルに近付いています。
プロトタイプやサンプルをご覧頂くことも出来ますので、お仕事の関係でご興味を持って頂ける方がいらっしゃいましたら、お問合せをお待ちしています。
※4:ご利用に当たって
このページ内でのご利用や外部リンクについては無料でご自由に行ってもらえます。
ソースコードをはじめ内容の一部であっても、転用・転載等をご希望の場合は事前に当方の許可を得た上で行って頂くようお願い致します。
低温抽出方式別の目安レシピ
ご参考までに、当店の検証に用いたいくつかのサンプルをお示したものです。
共通の抽出条件
- 中深煎り豆(シティーロースト)
- 中挽き(700μm前後)
- 粉量:12g(杯数分量は減衰式で計算※1)
- 抽出量:150g(×杯数分)
- ドリンクレシオ:1対12.5
- ブリューレシオ:1対15程度(蒸らしなし)
- 目標濃度:1.5%(やや濃い目)
- 氷出しには家庭用冷凍庫の氷を使用
注水型ごとの抽出時間
- 水出し滴下方式(室温25℃ )
- 1~3杯分(150g~450g)⇒ 1~2時間
- 4杯分から7杯分(600~1050g)⇒ 3~4時間
- 水出し浸漬方式(冷蔵庫内温度:5~10℃)
- 1~3杯分(150g~450g)⇒ 3~6時間
- 4杯分から7杯分(450~1L)⇒ 7~12時間
- 氷出し滴下方式(室温:25℃ 氷量と抽出量の比率:1.2)
- 1~3杯分(150g~450g)⇒ 2.5~4時間
- 7杯分(約1L)⇒ 5時間※2
※1 関連記事:濃度がブレない抽出レシピの作り方③ -工程レシピを計算によって導出する-
※2:7杯分(1リットル用)レシピは、氷出し方式を使った大量注出というケースが想定しづらいため、今回の検証では範囲外としています。
5時間という値は下の計算フォームで予測された氷の融解時間をそのまま記載したもので、水温に対する抽出時間としてはやや短い印象があります。
しかし、水と粉の平均濃度勾配と接触機会が大きくなる(浸透圧が大きくなる)滴下式の場合は、最終的な成分溶解量のうち、主要な成分の大半は抽出時間の前半ですでに溶け出していると考えられるので、ここでの目標濃度付近に到達する可能性は高いです。