- 2025/07 ver.1.1β アプリのUI/UX、当該ページを刷新
- 2024/08 計算式の微調整とバグ修正
- 2024/08 氷の融解に伴う熱伝達率の上昇を反映したモデルに修正
- 2024/08 滴下式の吸水量など計算方法の細部見直し(記事も更新)
- 2024/08 使い方の説明を追記・修正
- 抽出条件:お好みの値(半角数字)を入力してください
- 最適なレシピ:抽出条件に沿って、独自のアルゴリズムが結果を予測することで、本来は可視化の難しい条件を含む適切なレシピを生成してくれます
- 抽出プロセスの推移グラフ:全体の進行状況についてのシミュレーション
- グラフ内の星マーク:目標抽出量に到達する抽出完了時間。(抽出条件の変更が、最適なレシピ、グラフの形や星マークの位置に即座に反映されます)
- リセットボタン:抽出条件を初期値に戻します
- 初期値の抽出レシピ:
- 氷出し型滴下式(ペーパードリップ)・抽出量150g
- 豆(中深煎り):粉量12g(中挽き)
- 家庭用冷蔵庫(冷凍室)の氷
- 間接注水型(チャネリング対策済み)※1
- 環境温度:25℃
- 注水温度:7℃・スラリー温度:14℃
- ドンクレシオ:目標抽出量 ÷ 粉量 ≒ 12.5(1:12.5)
- TDS濃度:成分量 ÷ 目的量 × 100 ≒ 1.5%(やや濃いめ)
※ドリンクレシオはブリューレシオと呼ばれる値とは若干異なります
- 濃度調整:抽出条件内の「ドリンクレシオ」を変更
- 値を小さくする⇒濃いめ
- 値を大きくする⇒軽め
- 抽出完了時間の調整:このアプリは新開発のメソッド(手法)に対応しており、意図的、かつ直感的に氷出しコーヒーの抽出完了時間を調整することが出来ます
- 抽出条件の「氷量と抽出量の比率」という値を変更すると、最適レシピ内の「必要な氷の量」と「抽出完了時間」という予測結果が変わります
- この値が「1」の場合、抽出完了時間と氷が全て解け切るまでの時間が同じ、という意味になります。時間が掛かっても良いから完了まで放置したい場合は「1」に設定
- 「1」以上とした場合、抽出完了時間に到達した時点でも氷は残っている状態になります。なので、手動で抽出を終了させる(ドリッパーあるいはサーバーを外す)必要があります
- この値を大きくすると、より使用する氷量(注水流量)が増え、抽出完了までの時間は短くなります
※極端に大きくし過ぎると、未抽出傾向「濃度:低⇒軽め」になる点に注意
- 初期レシピの濃度(TDS:1.5%)は、「推奨値=1.2」という設定で実際に得られた結果
- 氷の純度:氷は凍結方法や水質によって融解速度が変わる、という物理現象についても、このアプリの計算アルゴリズムは対応済み
- 注意事項
※1:氷出し型の抽出時間問題とは別に、低温型長時間抽出方式の課題の1つとして「注水パターンの偏り(チャネリング)」が挙げられます
その対策として、初期レシピでは間接注水型を採用(粉上に氷を乗せる直接注水型ではなく、別のドリッパーなど専用の氷受け&注水容器を使用するタイプ)
氷全体を囲う樹脂製容器などを使い、氷が解けにくくする場合、抽出条件の「室温」を、実際の温度から5℃前後差し引くことで調整
さらに、「粉状面にペーパーを敷く」といった形で、毛細管現象を利用した注水範囲の均等化を実施する、など。
実際の条件(使用される豆の焙煎度・挽目・器具)の違いによって、TDS濃度は異なる結果となります
- 抽出条件をいろいろ変更して、ご自身のお好みや各ケースに最適なレシピを探してみてください
- ブラウザの右上メニューから、お気に入りやスマホのホーム画面に登録しておくとすぐ使えます
氷出しコーヒー用レシピ作成アプリ
最適な抽出条件を科学的に計算
開発コンセプト
現状の課題
- 再現性の壁:
抽出に数時間以上かかるため、使用器具や環境によって生じるわずかな氷の解け方の違いが、最終的な味わいに大きなブレを生み出します。現状は、「いつも通りの味」「レシピ通りの味」を安定して再現することだけでなく、それを確かめることさえままならないという課題を抱えています。(チャネリング問題:注水流量、注水パターンの偏り)
- 抽出時間のブラックボックス化:
現状、氷量を決める基準となり得るのは分量の比率(ブリューレシオ)のみであり、抽出時間については「時々の氷の解け方に任せる」という手順が一般です。しかし、その日、そのケースにおける「氷の解け方の謎」を明らかにしない限り、抽出時間も、それに合わせた最適なレシピも見出す術がない、というのが論理的な帰結です。
- 抽出理論の核心的な謎:
これまでのあらゆるコーヒーに関する理論・手法と呼ばれるものは、常にその核心部にブラックボックスを抱えて来ました。(パンドラの箱現象:誰もが多かれ少なかれ、「経験・勘・運・ブランド(知名度)」といった心理的で慣習的な解決手段に依存することで、ブラックボックスに触れないまま、現状維持を選択し続ける状況)
- 風味の劣化:
サーバーに溜まって行く抽出済みのコーヒーについて、それが数時間以上に渡って室温のまま放置されるという状態は、揮発や酸化によって風味が損なわれるだけでなく、腐敗の危険性もはらみます。
これらの課題は、氷出しコーヒーの持つポテンシャルを損ない、貴重な時間と風味の浪費につながるだけでなく、「氷出し型」という抽出方式が発展して行く上での致命的な障壁となっていました。
※開発経緯や低温型抽出方式に関する詳細
解決策:物理・数理モデルの導入
現状の課題として、最優先で取り組むべきは「抽出時間のブラックボックス化」と考えました。
そして、長年に渡る数々の試みを通じて当店のたどり着いた解決策は、氷出し方式の抽出過程を物理的な視点から捉えた数理モデルを構築する、というものでした。
結論から言うと、「ブラックボックスを開く鍵」は、これしかありません。
”数理モデル”とは?
ひとまず、一般的な高温型抽出方式の抽出時間は数分以内で完了する場合がほとんどのため、何十倍もの抽出時間を要する低温型に比べると抽出結果のブレ幅が小さい、という確率的な前提さえ理解してもらえば大丈夫です。
元々、高温型は抽出プロセスを狙った範囲に絞り込む手段(様々な材料や器具や情報)は多くのご家庭まで普及しているため、事前の細かい計算や慎重な作業に大きなコストを掛けなくても、ある程度は期待した結果が得られやすいプロセスとして確立済み、ということです。
- 氷出し型は、意図的に注水流量や注水範囲をコントロールすることが難しい
- 抽出時間を事前に予測したり、調整したり出来ないため、レシピの最適化や正確な評価を実現する手段がない
これらの問題を解決し、実際のワークフローや品質を向上させて行くためには、新たに具体的で有効な手段を探し出す必要がありました。
そこで、コーヒー抽出の過程を物理的な視点から分析する科学的なアプローチに打開策を見出すことにしました。
物理・化学の法則に基づき、コンピュータ上で「氷の融解と抽出プロセス」のシミュレーションを可能にする
これが、「コーヒーの数理モデル化によって、これまでブラックボックスだった抽出過程を可視化し、予測可能にする」という意味です。
複雑性を扱うための新たなスキーマ:
コーヒーに関する既存の概念や思考パターン(個々のデータと関連付けの構造)では扱えない領域です。ご興味ある方は、世界的なベストセラー「三体」の主要テーマとなっている”三体問題”、”多体問題”で検索してみてください。一般的なコーヒー抽出に関するQ&A(認識方法)には、”二体問題”までしか扱えないという構造的な限界があります。
新しいコーヒー体験(魔法)の創造
- 誰でも、いつでも、思い通りの一杯が作れる時代:
- コストの削減と品質の最大化を両立:
- お好みで気軽にカスタマイズ:
- 注意事項:
当アプリは同様の目的で開発を進めているコーヒー抽出最適化ツール群の一つです。
コーヒー専門店の実証によるフィードバック調整が施された独自モデルには、「机上の空論」や「経験則に頼った思い込み」といったハマりやすい落とし穴対策として、安全性を高めるロジック回路(バリデーション機能)も組み込まれているため、幅広いケースに対しても柔軟かつ正確に回答することが出来ます。
ただし、基本的な仕様を定めるに当たっては、「安定的な抽出環境と一般的な手順」という仮定や近似を採用せざるを得ません。実際の結果は、様々なイレギュラー要素によって若干異なる可能性があることをご了承下さい。
上級者向けテクニック
このモデルでの抽出完了時間は、ケースごとのズレを見込んだ上で、ある程度の安全率を含んだ設定にしてあります。
つまり、もっと早く完成させることも出来る、ということです。
- 抽出最適化プロセス(レシピ調整、オペレーション調整)は実施済みとする
- 成分溶解が十分に達成される(目標収率に届く)までの時間はもう少し早いので、その時点で抽出を終える
- バイパス注水(加水、または加氷工程)における濃度と温度を、同時調整する手法に切り替える
※下記の当店開発手法との合せ技なので、これらの専用アプリを使いこなすことでしか実践不可能な世界初のメソッドになります。
関連記事:急冷式アイスコーヒーの作り方は?② – 直接急冷式用レシピ生成アプリ
これらはまだほんの一例に過ぎませんが、数理モデルというツールを活用する最大のメリットは、人間の感覚だけでは辿り着けない新たなフロンティアに踏み込むことが出来るという点です。
もし、そのようなツールを「現代の魔法」と呼ぶのなら、すでに誰もが魔法使いなのかもしれません。
普及と発展に向けて - 協力者募集
当店では、「コーヒーをもっと楽に」というコンセプトの下、これまでにないアプリやデバイスの開発をはじめ、コーヒー体験の向上に日々取り組んでいます。
🔗SOMA COFFEE:Q&A
🔗SOMA COFFEE:APPS
現在は非公開ですが、より多様なアプリ・高度なモデルを搭載したバージョンの準備も進んでいます。
当店の運営形態は一個人事業であり、研究開発・マーケティングの規模を拡大して行くためには、ご賛同頂ける方からのフィードバック、ノウハウ、資金面をはじめとするご協力が必要です。
団体、個人、ビジネスやご趣味にかかわらず、お問い合わせやご感想などお待ちしております。
- mail@somacoffee.net
- @somacoffeekyoto
個人情報・著作権の取り扱いについて
- ユーザーの入力情報を弊社で収集・保管したり、利用したりすることはありません
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※公益性を重視し、ソースコードの閲覧が可能な公開方法を選択している主旨をご理解下さい
低温型抽出方式別の目安レシピ
ご参考までに、当店の検証に用いたいくつかのサンプルをお示したものです。
共通の抽出条件
- 中深煎り豆(シティーロースト)
- 中挽き(700μm前後)
- 粉量:12g(杯数分量は減衰式で計算※1)
- 抽出量:150g(×杯数分)
- ドリンクレシオ:1対12.5
- ブリューレシオ:1対15程度(蒸らしなし)
- 目標濃度:1.5%(やや濃い目)
- 氷出しには家庭用冷凍庫の氷を使用
注水型ごとの抽出時間
- 水出し滴下方式(室温25℃ )
- 1~3杯分(150g~450g)⇒ 1~2時間
- 4杯分から7杯分(600~1050g)⇒ 3~4時間
- 水出し浸漬方式(冷蔵庫内温度:5~10℃)
- 1~3杯分(150g~450g)⇒ 3~6時間
- 4杯分から7杯分(450~1L)⇒ 7~12時間
- 氷出し滴下方式(室温:25℃ 氷量と抽出量の比率:1.2)
- 1~3杯分(150g~450g)⇒ 2.5~4時間
- 7杯分(約1L)⇒ 5時間※2
※1 関連記事:濃度がブレない抽出レシピの作り方③ -工程レシピを計算によって導出する-
※2:7杯分(1リットル用)レシピは、氷出し方式を使った大量注出というケースが想定しづらいため、今回の検証では範囲外としています。
5時間という値は下の計算フォームで予測された氷の融解時間をそのまま記載したもので、水温に対する抽出時間としてはやや短い印象があります。
しかし、水と粉の平均濃度勾配と接触機会が大きくなる(浸透圧が大きくなる)滴下式の場合は、最終的な成分溶解量のうち、主要な成分の大半は抽出時間の前半ですでに溶け出していると考えられるので、ここでの目標濃度付近に到達する可能性は高いです。

