ちょっとマニアックな道具に関するお話です。
ドリップコーヒーの宿命として、滴下に従って必ずコーヒー液の温度が下がることが挙げられます。
沸かした時点での湯温から、ドリップポットに移り、ドリッパーを通過してサーバーに溜まり、カップに注がれるまでの各段階で、それぞれに適温があります。運が良ければ、お湯をかけただけでも各段階の条件をクリアして「香りが立ち味わい深くちょうど飲み頃」に至るということもあるでしょうが、いつどこでもそうなるとは限りません。特に冬場で外気温が一桁ともなれば、10度20度程度はあっという間に下がってしまい、喫茶店や家庭で使われる一般的な道具と抽出法をもって適温が保たれるような幸運は望めません。そこで、温度環境を常に安定させるための様々な工夫が必要になってきます。
半年ほど前から、ガロのマスターが特注して作って頂いたコーヒーサーバー用テーブルを使っています。職人さんの手でヒノキを使い作り込んで頂いた美しい工芸品と言えるものです。これをさらにパワーアップさせるのが作業全体の中でも効果的だろうと思い至りました。早速、材料を揃えてサーバーテーブルの底面を開き、電熱プレートを埋め込んでみました(写真参照)。熱の伝わり方や最高温度、消費電力、安全性なども考慮しないといけないので結構時間がかかりました。
*家電製品の分解・改造を推奨するものではありません。
何度か実際に使ってみて結果は良好です。全体の作業スピードも上がりました。これから冷え込む時期に、しっかりとお客様の求めるものにお応え出来るかどうか試されます。