【ドリップ(抽出)】の基本的な目的は、コーヒー粉の持っている風味成分をお湯にどれくらい溶かし出すかという濃度調整です。
少し前置きが長くなりますが「何のための調理なの?」というスタート地点があやふやなことも、淹れ方で迷ってしまう大きな原因になっているので、それから理解してもらうことが「自分の好きなコーヒーを作る」というゴールまでの近道になると思います。
不要な方は「ドリップ工程とポイント調整の効果」項までスキップして下さい。
まず、コーヒー用の抽出器具は、飲みにくい粉を取り除いて水に溶かしたエキス(水溶液)だけを取り出すことが本来の目的です。
コーヒー豆に含まれる数百から千を超えるとされる成分(分子・イオン)についてまで、厳密に濾過したり選別したり変化させたりしてコントロールするような複雑な作業が目的ではありません。
そもそも、そんなことが出来る化学的に緻密な構造や工程はどこにも存在しないということは、改めてそれらを観察してみればご理解頂けると思います。また、コーヒー豆に含まれる成分の詳細については化学的に未解明な部分も未だ残されているという状況です。
世界中のプロや一流と呼ばれる人たちでさえ、当然のように私たちと同じ一般的に手に入る器具を用います。さらに、その手法についても様々な場で公開されており、それらの事例も原理に則った基本的なポイントが何かを理解し、バランスを調整することの重要性を示すものが大半です。
ドリップのどこに日常からかけ離れた特別な道具や技術、感覚を必要とする難解な調理(作業)があるでしょうか?
「こだわりの~」「極上の~」「至高の~」といったコーヒーにまつわり目にすることの多いイメージが先行して、想像を膨らませてしまうこともあると思いますが、実際にはそのような特別なことは何もありません。
いくつかの単純なポイントとその理由に注意を傾けて丁寧に行うだけで、どなたでも自分のお好みに合わせて調整出来るようになります。
基準は自分が感じるおいしさ
「自分にはコーヒーの違いが分からないから…」という根深い問題についても、ここで