Q&A

どなたでもどこでも美味しいコーヒーを

コーヒーの入り口はどこ?

当店は10年以上、何十万杯というコーヒーをお作りしながら、様々な場所で多くのお客様と直接お話させてもらって来ました。

その中で頂く機会の多いご質問について、店頭では十分にお答え出来ないポイントを含めた回答をまとめています。

  • 思うようなコーヒーに出会えない・作れない
  • 自分で淹(い)れてみたいけど難しそう
  • どれが良い悪いと言われてもよく分からない
  • もっと深くコーヒーについて学びたい

コーヒーにご興味を持ち始めたばかりの方から長年取り組んでいる方まで、それぞれの方が直面されている疑問とその範囲は多岐に渡ります。

どなたでも・どこでもコーヒーを楽しめるように」という当店のコンセプトに沿って、回答に当たっては優先度と信頼性が高い情報に絞ってお伝えするよう心掛けています。

また、当店のQ&A全体でお伝えしたいことは、豆・抽出・器具やお店といった個々についてのレビューやハウトゥー、宣伝ではありません。

それらを生み出す源流、ご自身の力で目的のコーヒーに辿り着いて頂くためのシンプルな方法です。

なぜなら、現代の日本においてはご自身で品質の高いコーヒーを淹れることに費用・労力・技術的な障壁はほとんどないと言えるほど十分な環境がすでに整っているにもかかわらず、以下のようなイメージが立ちはだかって躊躇(ちゅうちょ)されているケースが少なくないからです。

  • コーヒーは奥が深い・難しい
  • こだわりの~・極上の~・厳選された~
  • 違いが分かる~・大人の~

こういった類のコーヒーにまつわるイメージは、人々を惹き付けるためのマーケティング方法の一環として長年かけて築き上げられたものに過ぎず、コーヒーという分野が特別に高度な知識や技術、あるいは感性を必要とするものだからではない、ということにまず気付いて頂くことが大事と思います。

その何よりの証拠の一つは、コーヒーや焙煎豆の販売を仕事とするに当たって必須の専門資格や免許・経歴といったものはなく、まさに当店もそうであるように趣味の延長からでも始められるほど身近で参入障壁が低い分野の一つに挙げられる、というイメージと現実のギャップが挙げられます。

分かりやすい一例を挙げると、コーヒー店を探すと度々見かける「焙煎士」という呼称については国家認定の高等資格を要する「士業」と呼ばれる職能には含まれていないのはもちろんのこと、実はコーヒー焙煎に関わる資格すら存在しないので俗称に当たるものですが、その事実を知らなかったり印象による判断に左右されたりする状況では「肩書」や「能書」だけでも十分な説得力を持つ場合がある、といったことです。

私たちが日常的に触れる「商品としてのコーヒー」から得られる情報は、果たしてどこからどのように生まれたものなのでしょうか?

つまり、以下に代表されるような情報伝達に関わる問題が本質的な原因と言えます

  • 一部分、一面のみが切り取られている
  • 無関係なものがバラバラに組み合わされている
  • 主張・宣伝・誘導に利用されている
  • 実体と付加価値の乖離

その発信源には市場の仕組みが存在し、次々と生まれては消え続ける情報の波はすでに私たちを飲み込んでしまっている状態にあります。

時としてこの状態こそ、そうと気付かぬうちに私たちの行く手を阻んでいる最も避け難い障壁なのではないか、とさえ思えるほどです。

コーヒーの入り口は至る所で見つかるとしても、その先には目的地までの道がつながっていない場合が多いので、いつの間にか迷い道に入り込んでしまうのではないかと思います。

外から見えて来るコーヒーの新しい地図

皆さんご存じのようにコーヒーには長い歴史があり、豆、器具、工程、お店などのそれぞれに目を向ければ多種多様な楽しみ方があります。

では、そういった中からご自身のお好みのコーヒーにたどり着くためには、誰もが以下のような険しい道を進む必要があるのかというと、実はその心配も労力も要りません。

  • 一つ一つの豆や器具、お店、手法の特徴や仕組みについて一から十まで網羅する
  • コーヒーについてネットや本の情報、専門書を読み漁る

それぞれのコーヒーやそれに関わる物事は全く別々のものでもなければ、一個人の力だけで作られているものでもありません。

自然環境や地域、時代、文化、学問、テクノロジー、ビジネス、人々とその嗜好などに合わせて、少しづつ確立されて来た土台の上に成り立っているものです。

それらの基本的な仕組みから紐解いて行けば、ある程度は同じパターンを持つまとまりとしてシンプルに整理することが出来ます。

そして、こうした視点から見えるパターンは決して多くないからです。

  • なぜそうなっているのか?
  • 全てに共通するポイントは何か?

これらの「核心(原理)」とそこに至る「近道(法則性・パターン)」に当たる情報は、すでに存在しています。

コーヒーのことが知りたくて、その世界だけを探していてもそれらは見つかりにくいかもしれません。

しかし、コーヒーも自然の一部と捉えさえすれば、はるかに膨大で深遠な探究とその答えが多くのことを伝えてくれています。

すでに大半の答えは目の前にあるにもかかわらず、多くの方が迷い道の中で右往左往することになってしまう原因は、核心や近道に辿り着くための地図(全体像)とガイド(ナビゲーション)という役割を持った情報が上手く伝わっていないことにあります。

世界中の様々な情報がインターネットを通じて手に入るようになったとは言え、そのような役割を果たすものに出会う機会はまだ多くありません。

ついつい目の前を流れて行く一つ一つに目を奪われてしまいがちですが、それらは私たちにとって身近で触れやすい形に変容した、言わば情報の最下流部に当たります。※価値があるかないかという意味ではありません

幾多にも枝分かれ、数多の要素が混ざり合った後のそれらの中から、源流を示す「指針(コンパス)・道標」となる情報を拾い集めながら流れを遡(さかのぼ)って行くなどということが、どれだけ困難なことかは容易に想像が付くのではないでしょうか?

私たちは無意識のうちに、正確な位置も目的地も分からないままただ歩みを進めてしまうことがありますが、それは言わば「木を見て森を見ず」という行き当たりばったりの状態に陥いりやすい危険な行動に当てはまります。

お好みのコーヒーを作る・見つけることが目的なのであれば、「まず第一に全体を見渡せる地図を得ること。そして、その中でご自身の現在地と目的地をつなぐ道を探し出すこと」をおすすめします。

なぜなら、生身の私たち一人一人の知識や感覚は常に局所的で不完全なものなので、いつどこで道を見失ったとしてもおかしくないからです。

以下のコンテンツでは、なるべくご趣味やご家庭でのコーヒーに関する核心的な情報に絞った上で、それらのつながりに焦点を当ててまとめています。

  • 多種多様なコーヒーが生み出されるまでの全体像と原理的な仕組み
  • 上達を目指す各段階で障壁になりやすいこととそれを乗り越える方法
  • 未だよく分かってない謎についてと当店なりの探求

まだまだ拙い地図と思いますが、コーヒーをより自由に楽しんでもらうお役に立てば幸いです。

Q. ホームコーヒーについて

Q. アウトドアコーヒーについて